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技術書を効率的に勉強する!難しい本でも読んで覚えられるコツ

2021年12月28日

ITエンジニアなどの知識労働者であれば、技術書を読む機会は多いのではないでしょうか?

情報を探す際には、インターネットで解決する場合も多いですが、特定の分野を体系的に学んだり、技術書ならではの情報が得られるなど、本ならではのメリットも有るため、技術書を読む重要性は未だ健在だと思います。

しかし、特に海外の技術書などは、分厚かったり、難解だったりと、内容を理解しながら読み切るのは骨が折れるところです。

今回はそんな読むのが難しい本でも、能動的かつ効率的に読むための方法「SQ3R」をご紹介します。

SQ3Rとは?

SQ3Rの5つのステップ

  1. Survey:概観
  2. Question:質問
  3. Read:読解
  4. Recite:暗唱
  5. Review:確認

SQ3Rは、1946年に米国の教育心理学者Francis P. Robinsonによって考案された、能動的かつ効率的に読書するための方法ですSQ3Rは主に5つのステップから構成されます。

もともとは大学の学生向けに考案されましたが、今では世界中の教育現場でも採用されている方法です。また、インドネシアの学校で行われた実験では、英文の読解の授業にSQ3Rを導入したところ、事前テスト(69.52点)に比べて10.69点高い(80.21点)成績を出した上、授業への参加意欲も高まったとしている[1]https://ejournal.unwaha.ac.id/index.php/eduscope/article/view/15など、効果が認められている学習方法です。

通常の読み方に比べると手間がかかるのが難点ですが、普通に読む場合に比べて、着実に内容を覚えられるため、長期間記憶しておきたいような本や、分厚い本を読む場合に有効な読書方法と言えます。

SQ3Rのメリット

SQ3Rには、主に以下のようなメリットが挙げられます。

  1. どこに重点を置いて読めばいいのかが把握でき、目的の箇所だけ読むため、読書スピードが上がる
  2. 「知りたいことの答えを探す」という目的が明確になり、読書意欲が高まる
  3. 想起学習の要素を含んでおり、読んだ内容が長期記憶に残りやすい

ここでいう想起学習とは、過去に学習した内容を思い出す学習方法で、記憶の定着に高い効果があることが実証されています。

アイオワ州の3000人以上の6年生を対象にした調査[2]https://openlibrary.org/books/OL6604271M/Recitation_as_a_factor_in_memorizingでは、600語の記事を読んだ生徒たちに、不定期で2ヶ月間テストを実施したところ、一度テストを受けた生徒はほぼ内容を忘れず、その後のテストではほぼ成績が下がらなかった!など、複数の実証研究で効果が認められている学習方法です。

SQ3Rの手順

step
1
Survey:概観

本の目次やタイトル、見出しなどから本の内容を数分程度かけて把握します。

step
2
Question:質問

ステップ1から「何を学ぶべきか?」を質問化したリストをノートに書き出していきます。

例として、TypeScriptについて学ぶ場合「any型とunknown型の違いは何か?」、「tscとはなにか?」みたいな質問をズラズラ書いていきます。

step
3
Read:読解

本を読んで、質問の答えを探しだします。

このとき、質問の答えに関係ない箇所は読み飛ばし、全ての答えが見つかるまで、ノートには触れないのが肝です。また、本を読んでいる最中に新たな質問が浮かんだらそれもリストに加えます。

step
4
Recite:暗唱

本を閉じて、質問リストの答えをノートに全て書き出します。

このステップは想起学習に相当し、あえて答えを見ずに思い出すことで、読んだ内容が長期記憶に残りやすくなります。答えがわからなかった場合はステップ3に戻ります。

先程の例だと、「any型とunknown型の違いは何か?」という質問に対して「any型は型チェックを行わないため、足し算や掛け算、あるいは存在しないメソッドを呼び出すなど、何でもできてしまう。対して、unknown型は、比較、否定や型の絞り込みのみしかできない」というような答えを書き出します。

step
5
Review:確認

ノートに書き出した質問リストと答えを再確認します。

質問の答えを暗唱できるか再度確認し、読んだ内容を更に記憶に定着させます。

最後に、乱筆で申し訳ない限りですが、参考までに私が書きなぐった質問リストとその答えを載せておきます。

SQ3Rノート例1
SQ3Rノート例1

まとめ

今回は、シンプルかつ実績のある読書方法「SQ3R」についてご紹介しました。

読書方法にはSQ3R以外にも、マインドマップにまとめる方法や、付箋読書法など様々なやり方が存在しますが、私としてはSQ3Rが最も効果が実感できており、難解で分厚い技術書を読む際には最もオススメできる方法ですので、ぜひ一度挑戦してみてください。

また、今回触れた想起学習を含めた、効率的な学習方法について詳しく知りたい方には、想起練習の生みの親ともいわれるヘンリー・ローディガー氏らの著書「使える脳の鍛え方」を読むのがオススメです。

今回紹介した想起学習以外にも、間隔練習や交互練習といった、効果が実証されている有用な学習法を詳細に解説されており、より詳細を学びたい方には、一読していただきたい1冊です。