一日中悩んでいていた問題が、翌日にはあっさり解決してしまった経験はないでしょうか? あるいは、プログラミングの経験がある方なら、散々苦心してもバグの原因が突き止められなかったのに、翌日にはすんなり解決してしまったことが一度はあると思います。
このように、直面している問題に対して、無意識下でアイデアを生み出す手法は、多くの偉人たちも活用していたことが判明しています。ベートーベンやポール・マッカトニーの楽曲制作、ケクレのベンゼン分子の構造の発見など、優れた芸術や発見のアイデアを潜在意識から得たという話は数多く存在します。
アイデアの発想力は、芸術家や研究者など創造性が求められる職業はもちろん、コンサルタントやITエンジニアなどの知的労働において成も功を収めるために必要不可欠な能力です。 もちろんそれ以外の職種や、プライベートにおいても問題解決のためのアイデアを生み出せれば充実した生活を送れることでしょう。
しかし、潜在意識を使ってアイデアを生み出すには、いくつかコツがあり、意識して使わなければ宝の持ち腐れとなっていまいます。
この記事では、潜在意識を有効活用し、あなた自身はもちろん、社会にも役立つようなアイデアを生み出す方法をご紹介します。
潜在意識でアイデアを生み出すには、解決すべき問題とリラックスが肝要
潜在意識でアイデアが生まれる手順は主に以下のとおりです。
- 脳に問題を与える
- リラックスする時間を作る
- アイデアが閃く
当たり前ですが、アイデアを生み出すための前提として、まず解決すべき問題が必要です。
どうしたら今の業務を改善できるだろうか?
発生しているバグの原因はなんだろうか
みたいな仕事に関する問題はもちろん
今度のデートプランをどうしようか?
明日の夕食何を作るか?
みたいな日常の問題でも構わないので、なにかしらの解決すべき問題に思考を巡らせておくことが必要です。
解決すべき問題が脳に与えられると、潜在意識は問題に対処し始めます。
潜在意識が活動するのは瞑想や入浴中、頭を使わない単純作業中などリラックスしているときです。暇なときは、ついスマホを触ってしまいがちですが、あえてボーッとするなどして意識的に頭を使わない時間が必要です。
なかでも、オフィスワーカーや在宅ワーカーなど、室内での仕事が多い方にオススメなのが散歩です。
フェルマーの最終定理を証明したワイルズや、精神分析学の創始者のフロイト、ベートーベンなど、多くの偉人たちが散歩を習慣化していました。
外出して気分転換をしつつ、運動不足や日照不足解消も兼ねてアイデア発想のための時間を設けることができ、まさしく一石三鳥です。アイデアに詰まったとき、アイデアがほしいときはぜひ散歩を活用してみてください。
ただし、頭に浮かんだアイデアはすぐ忘れてしまうので、いいアイデアが思いついたら即座にメモしておきましょう。
潜在意識を最大限活用したいなら夢を使おう!
もしあなたが今まで見た夢を覚えているなら、どんなときに夢を見たのか思い返してみてください。 夢の内容は寝る前に考えていたことに関連していたのではないでしょうか?
たとえば私の場合、子供の頃ディーアークという液晶玩具にハマっており、新しいデジモンを手に入れるためには、デジモンカードが必要でした。翌日、友人のデジモンカードを貸してもらえることになり、カードのことで頭を一杯にしながら眠りについたところ、夢の中で欲しかったカードが夢に出てきたことを鮮明に覚えています。
アイデアを生み出すには、リラックスすることが重要だと述べましたが、もっとも潜在意識が活動するのは睡眠時です。
冒頭で紹介した楽曲制作や分子の構造の発見の他にも、スティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』やシェリーの『フランケンシュタイン』、ガンジーの非暴力主義などは睡眠時の夢に触発されていたことが判明しています。夢で得たアイデアからノーベル賞も生まれるなど、睡眠はアイデア発想において、もっとも貴重な時間と言えるでしょう。
このように意図した事柄に関する夢を見る方法は、古代ギリシアのアスクレピオス神殿の故事を踏まえてドリームインキュベーションと呼ばれます。 神殿では、病人の病を治す方法を夢で着想を得ようとしていたとされ、古来より潜在意識を活用したアイデア発想手法が取り入れられていました。
ドリームインキュベーションの有効性は、アメリカの心理学者Deirdre Barrett氏の研究[1]The Committee of Sleep: A Study of Dream Incubation for Problem Solvingによって明らかにされています。
研究は76名の大学生に対して、1週間毎晩寝る前に下記の方法[2]When the Answer Comes in a Dream | American Scientistで未解決の問題に対処させました。
- 問題の内容を簡潔にメモ帳に書いてベッドの横に置くか、問題と関連のあるものをベッドの近くに置く
- ベッドに入る前に、その問題について数分考える
- ベッドに入ったら、問題を明確なイメージとして思い浮かべる
- 眠りに落ちる際、その問題についての夢を見たいのだと自分に言い聞かせて、問題に関する夢を見ている自分と目覚めてノートにその内容を書いている姿をイメージする
- 目覚めたらベッドから出ず、横になったまま思い出した夢を記録し、可能なら夢の続きを呼び起こして記録する
その結果、参加者の3分の2は問題に関連する夢を見て、3分の1は解決に至りました。
手順にさえ従えば、大多数の人が意図した内容の夢を見られるというわけですね。研究の期間は1週間ですが、この手順をさらに続けていけば、より上手に意図した夢を見ることができるのではないかと思います。
人生の3分の1を費やす睡眠の時間が問題解決に役立てられるのですから活用しない手はないでしょう。
まとめ
潜在意識を活用したアイデア発想手法は古来より行われてきた有効な手段であることをご紹介しました。
「アイデアが浮かばない」と嘆く人は多いですが、アイデア発想は単なる技術です。日頃からアイデアを生むための行動を意識して実践すれば、自然とアイデアが自然と浮かんでくるはずです。
ぜひ、今回ご紹介した方法を日常に取り入れていただき、あなた自身はもちろん、社会に役立つようなアイデアを生み出すための一助となれば幸いです。
もっとくわしく知りたいもっと優れたアイデアを出したい!という方には、末尾のReferenceやこちらの本がオススメです。
出典が記載されていないのが惜しいところですが、ところどころ挿入される偉人たちの逸話とともに、優れたアイデアを生み出すための有用な情報が端的かつコンパクトまとめられています。興味のある方はぜひ読んでみてください。